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2013年11月19日 IP情報

「正派岩井流宗家」VS「岩井流宗家家元」:類似、非類似?

1. 拒絶査定の内容

「「宗家」が「宗主たる家。本家ほんけ。家元。」([株式会社岩波書店 広辞苑第六版])を意味するところ、本願商標は、「正派岩井流宗家」の文字を書してなるので、これより「岩井流の本家(家元)」の観念を生じ、引用登録第5371554号商標は、「岩井流宗家家元」の文字を書してなるので、これより「岩井流の本家(家元)」の観念を生ずるものです。

 そうとすれば、本願商標と引用商標は、称呼及び外観が異なるとしても、「岩井流の本家(家元)」の観念を同じくする点で互いに相紛らわしく、出所の誤認混同を生ずるおそれが多分にある類似の商標と認められます。」

 

2. 審判官の判断
 「日本舞踊の教授」等の提供を行う業界においては、例えば、「○○流」の文字からなる流派が存するときに、該文字に「正派」や「宗家」といった文字を組み合わせることにより、別異の流派の名称を表すことが少なからずあるというのが実情であるから、たとえ、名称の一部において、「○○流」の文字を共通にするとしても、需要者は、該文字とほかの文字との組合せからなる文字構成全体をもって、特定の流派名称を表したものと看取、理解し、それぞれを別異のものとして認識するとみるのが相当である。

 そうとすると、本願商標をその指定役務について使用した場合、(中略)その構成文字に相応して、「セイハイワイリュウソウケ」の称呼を生じ、また、「(流派の名称としての)正派岩井流宗家」の観念を生じるものである。

 他方、引用商標は、「岩井流宗家家元」の文字を標準文字で表してなるところ、(中略)その構成文字に相応して、「イワイリュウソウケイエモト」の称呼を生じ、また、「(流派の名称としての)岩井流宗家家元」の観念を生じるものである。

 してみれば、本願商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

 

3. 解説
 審査官は、本願商標「正派岩井流宗家」と引用商標「岩井流宗家家元」は、称呼及び外観が異なるが、「宗家」と「家元」は同じ意味のため観念が同じなので、類似すると判断しています。

 これに対して審判官は、「日本舞踊の教授」等の業界では、「○○流」の文字を共通にしても「正派」や「宗家」が組み合わされると別の流派と認識されるのが実情だから、称呼、観念及び外観が異なり、類似しないと審決しています。


 「○○流」の文字を共通にしても「正派」や「宗家」が組み合わされると別の流派と認識されるとした審決は、非常に興味深いです。なお、「○○流」が指定役務との関係において、需要者の間で周知の場合には、別の判断となる可能性もあるでしょう。

 

弁理士 田口 健児

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